涙は自律神経のスイッチ

更新日:2025.11.13

執 筆:整体師 飯島淳

涙を流すことによって、体には様々な反応が現れます。
泣くことは、自律神経に大きく関係しているからです。

生まれたとき"泣く"わけと涙の種類

私たちは「泣く」と聞くと、涙を思い浮かべます。
けれど、生まれた瞬間に赤ちゃんが上げる「おぎゃー」という産声には、涙は含まれていません。
赤ちゃんの涙腺はすでにありますが、しっかり働き始めるのは生後2~3週間ほど経ってからです。
生まれたとき「泣く」のは、感情ではなく、呼吸と自律神経を働かせるための反応なのです。

お母さんのお腹の中にいる間、赤ちゃんは肺を使わず、へその緒から酸素を受け取っています。
しかし、生まれた瞬間からは自分の肺で呼吸しなければなりません。

その切り替えのスイッチを押すのが、最初の「泣く」行為です。

強く息を吸って、声を出して吐く。
この呼吸運動によって肺がふくらみ、血液の流れが胎盤から自分の肺へと切り替わります。

つまり、「泣く」ことによって自律神経が働き出すのです。
そして成長するにつれ、涙は単なる生理現象ではなく、心の反応として流れるものへと変わっていきます。

涙には大きく分けて3種類あります。

  1. 目の表面を潤す「基礎分泌の涙」(通常時)
  2. 刺激から目を守る「反射の涙」(玉ねぎを切ったときの反応など)
  3. 心の動きで出る「感情の涙」

この感情の涙だけは、感情を司る脳の大脳辺縁系が関わっています。

つまり、心で感じたことが自律神経を通じて体の反応として現れる。 ここに、涙と自律神経の深いつながりがあるのです。

泣いて副交感神経を活性化

ストレスを感じると、交感神経が優位になります。
呼吸が浅くなり、筋肉が緊張し、心拍数が上がってきます。
この状態が続くと、自律神経はバランスを崩し、疲れや不眠、気分の落ち込みが現れやすくなります。

ところが、涙を流すと自律神経が切り替わります。
感情の涙を流すと、体は自然に副交感神経を優位にし、呼吸が深まり、脈拍がゆるみ、体が温まっていきます。
脳内ではオキシトシンやセロトニンなどの"安心ホルモン"が分泌され、心身をリラックスさせる作用が起こるのです。

つまり、涙は自律神経のスイッチ。

泣くことで交感神経から副交感神経へと、自然に切り替わります。
「泣いたらスッキリした」という経験は、この生理的反応の結果なのです。

ストレスの多い現代では、「泣かないように頑張る」人が増えています。
しかし、涙は我慢するものではなく、体が自分を整えようとする自然な反応で出るものです。
安心できる場所で流す涙は、心身を回復させる最もシンプルなセルフケアです。

生まれたときの「泣く」が命のスイッチを入れたように、今の私たちにとっての「涙」もまた、心と体を整えるスイッチ。

ストレスを感じたときは、好きな映画や感動する映像を観て、積極的に涙を流してみましょう。



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