自分の中の「枠組み」を外すことも必要

2019年6月開催 心と体の勉強会 音声テキスト No.4

No.3では、頭と心と体をつなげてより健康になるためのセルフケアについてお伝えしました。
ここでは、自分の枠組みを外してみることの大切さについてお伝えします。

人は皆「枠組み」の中で生きている

正気と狂気

今日、皆さんのいろいろな話(質問など)を聞いてですね、これを最後に話そうと思ったんですけど…皆さんは、「正気」の世界に生きているんですね、僕らみんなそうなんですけど。

とくに、病気で困っている人、うちの患者さんのほとんどは、「正気」という世界の中で生きているんですね。
正気の世界で生きているというのは、社会秩序が保たれてとても良いんです。
これがある意味「枠組み」です。
そういう枠組み、ルール、価値観が植え込まれている。
社会で人それぞれが自分勝手なことをやったら秩序が保てませんので、大変ですよね。
「人のものを取っちゃいけない」とかそういう同じ価値観がないと、生きていくのが大変です。

だから正気の中に入っている。
正気の中に生きていればいるほど、自分の中に住んでいる「野性」というものが…人間は人間である前に動物ですから、動物的なところというのがすごく重要なわけです。
その「動物的」というところが「体」にあたる部分なんです。

人間らしいというのは、「頭」の部分。

だから枠組みの中に生きていると、正気の世界でしか生きていかないんです。
じゃあ、「正気」の対極は何か。

対極は、「狂気」の世界なんですね。
いわゆる「狂っている」というやつです。
人は、正気の中でずっといると、狂いたくなるんです。
なので、夜の街で狂っている人たち、結構いますよね(笑)?
あれはもう、狂いたいんです。

お祭りと狂気

お酒だけじゃなくて、例えば、日本にはお祭りというのがありますね。
僕の嫁の実家は長野なんですけども、長野には「御柱祭」というのがありますね。
こんなでっかい大木に、人を乗せて崖から落とすんです。
その大木に最後までつかまっていた人が優勝、みたいな。
こんな斜度ですからね。みんな吹き飛ばされるわけです。
吹き飛ばされた人は、崖を駆け下っていって、またその木にしがみつくんです。
そして最後のときに自分がしがみついているために。
いつから始まったものがは分かりませんけども。
当然、けが人が出ます。

あとは、喧嘩祭り的なもの、神輿と神輿をぶつけたり、山車と山車をぶつけたりとかありますね。
これは日本だけでなく、世界的にやっているものですね。

スペインの「牛追い祭」というのを調べてみたんですが、何年間かで50人くらい死んでるんです。
あまりに死に過ぎているので、途中で「女性は牛を追いかけてはいけない」とかになって。
牛を触って逃げるものなんですけど、闘牛に使う牛なので…もう狂ってますよね。

狂気や野性は自律神経の力

正気の中に生きていると、人間の野性が動き出してくるわけです。
それ(野性)を何とかしようと、飼いならそうとするんですけど、飼いならすことはあまりできないんです。
「狂っていることをやって下さい」といっても難しいでしょうけど、そういう欲求が、野性として人間の中にあるんだということです。

なので、あまり枠組みの中でばかり生き続けると、野性はどんどんどんどん縮小していきます。
野性というのはいわゆる自律神経ですから、縮小していくと、自律神経の力もどんどん縮小していきます。

そうすると、さっき10と3の(自律神経の働きという)話がありましたけども、狂気と言っても「狂って下さい」というわけにはいかないので…
僕はいろいろ身体的なこと(ワークショップなど)をやるんですけども、「30分間狂って過ごす」ということをやってもらうこともあります。
それは特殊な例なんですけども。

「枠組み」を外してみる

自分の狂ったところを出すというのは重要なんですけど、狂って下さいと言っても難しいので、まず自分の枠組みを外してみます。

言えなかったことを言ってみる

例えば、お店の人がお釣りを間違えたとしますね。
いつも言えない人は、言ってみる。
「ちょっとお釣り違いますよ」と言ってみる。

例えば、並んでいるところに誰かが横入りしてきたら、いつも言えないでもやもやする人は、「私並んでたんですけど」と言うとか。
いつも言っている人は、別にそれ以上言わなくていいですからね(笑)。
ちょっと自分の中の枠組みから外れるっていうことも、すごく自分の野性を刺激して、自律神経を活性化していくので重要です。

僕らは簡単に言うと、飼いならされた牛とか羊とかと一緒なんです。
牛とか羊とかと違うのは、我々はこのまま100年間も生きなきゃいけない。
僕は今49歳ですから、90歳まで生きるとするとあと41年生きなきゃいけない。
飼いならされた家畜とかはお肉にされちゃいますので、そんなに仲良く生きなくてもいいんですけども、僕らは仲良く生きなきゃいけない。
そういう意味で、やっぱり病気になる人が増えていくんです、野性が少なくなればなるほど。

大声で騒いでみる

うちのスタッフが野球ファンで、スタジアムにスタッフ何人かと行くらしいんですけど、ああいうところで騒いでみるとか。
今までそういうことをやったことのない人はそういうことをやってみるとか。
あそこ(スタジアム)なら、どんなに大声を出しても「あの人狂ってる」とは思われませんから。
みんな狂っていますから。
それを駅でやると「狂ってる」と思われちゃうので。
だから、場所と時間を選ばなきゃいけないんですけど。

そうやって、自分のいつもやっている「枠組み」からちょっと外れてみる。

これからオリンピックがありますね。
オリンピックで、思いっきり大きな声を出して声援を送ってみるとか。
チケットはなかなか取れそうもありませんけど。
テレビを観ながらとか。
スポーツバーみたいなところで、みんながワーッと騒いでますから、自分が「こんな大きな声出していいのかしら」と思っても、みんなそれ以上に大きな声出してますから。

こういうことをやって、自分の野性を出す。
皆さん大丈夫だと思いますけど、狂気と言っても、法に触れることはやめてくださいね(笑)。
そういうのは、社会で生きていけなくなっちゃいますから。
社会で生きていくということで「正気」も必要だし、自分の体・野性を大切にするということで「狂気」ということもすごく重要で。

で、狂気のときには大概、交感神経がマックスまで上がります。
スペイン人は、「突き殺されるんじゃないか」っていう不安の中走っているわけです、わざわざ。
もう交感神経マックスですよね。
そうすると、副交感神経がマックスまで働く。
だからお祭りの後というのは町がシーンとしている。
みんな寝ているので。

そのときというのは、ここ(頭心体)がつながっているんです。
牛に追いかけられながらすまして歩くことはできませんね。

今日言ったことの一部でも続けていただけると、体調が少しずつ良くなって。
体調の変化と言うのも、変化がありすぎるとそれもストレスになりますので、「少しずつ変えていく」というのが重要です。