頭と心と体をつなげて健康になろう

2019年6月開催 心と体の勉強会 音声テキスト No.3

No.2では、頭を優先させることの弊害や、頭と心と体を遮断させる筋肉についてお話しました。
ここでは、その対策のためのセルフケアについてお伝えしていきます。

自分で筋肉を緩める方法

僕の本にも書きましたけれども、のどのケアというのも必要ですし、当院の施術でものどの施術というのがあります。
横隔膜をちゃんと緩める施術もあります。
横隔膜は呼吸を大きくすることによって、多少自分でも緩めることはできます。

首の後ろの筋肉を緩める方法

あと首の後ろは、さっきも言った頭板状筋とか斜角筋とか頚板状筋とか、色んな筋肉があるんですけど、それらをきっちり緩めていく。

ご自身でやる場合は、ゆっくり首を回してください。
この時に、こういう風に(速く)回してはダメです。
これは筋肉が仕事をしているだけです。

頭の重みをそのままかけて、ちょっとだけ方向性をつけてゆっくり動かすと、大体一周15秒くらいはかかります。
頭の重みだけをかけて回します。
これで3周くらい同じ方向に回して、もう一度反対方向に3周します。
それを、一日5~6回。

肩が緊張して上がってしまっている場合には…そんな状態だと筋肉はもう緩まらないですね。
緩めようとしても緩まらないので、どうするかというと、もっと緊張させます。
グーっと緊張させて、そこから力を抜きます。
単に力を抜いてもらっても、「抜いてるつもりなんだけど…」(抜けてない)となるわけです。

重いリュックとかを一回背負ってもらって、そうすると肩に重みがかかるので、少し肩を上げて肩紐を上げます。
そして上げたり下げたりします。
リュックの重みがあるので、抵抗があっていつもより緊張しますね。
そうしたあとにリュックをおろしてもう一度肩を上げたり下げたりすると、大概肩は軽くなります。

そういうのが自然にできるのが水泳とかで、肩の上げ下げを100回やってくださいというと途方もないですけど、水泳であれば50回、60回とすぐにかけますね。
水泳が良いというのはそういう部分もあります。
自然と緩める動きができる。

横隔膜とのどの筋肉を緩める方法

横隔膜は、ここ(肋骨の下)にドーム状にあるんです。
収縮すると、ドーム部分の長さが短くなるので、下がって平たくなります。
息を吸うときです。
緊張している横隔膜だと、すでに(息を吸っていないのに)これくらいだったりします。
これも、「横隔膜の力を抜いて」と言ってもできないですから、思いっきり息を吸っちゃう(ことで緊張させる)わけです。

それから、息を吐きます、ため息をつくように。
このため息は、幸せが逃げません(笑)。
ため息というのは、さっきの肩の上下と一緒です。
緊張して緩ます。

思いっきり息を吸うというのは、横隔膜を緊張させます。
そこから、よく口をすぼめて息を吐く人がいますよね。
それは肩をゆっくりゆっくり下ろすのと一緒で、筋肉を緩ます練習にはならないんです。

横隔膜を緩ます練習というのは、ため息なんです。
思いっきり声も出しながら吐くときは、ちゃんとのどが開いているんですよ。
静かに控えめにやってしまうと、のどが開かない。

人から見たら「どうしたの?」と思うようなこと(ため息)を、本当は体はやりたがっているんです。
それを、頭はずっと「そんなことしちゃいけない」とか「ため息つくと幸せが逃げるよ」とか言われて育っちゃっているんですよ。
そうすると「そういうことはいけないのかな」と思って自然に(体を)緊張させてしまう。

もちろん呼吸法で、大きく吸って大きく吐く、例えば「5秒吸って10秒吐く」みたいなのもあるわけです。

その原理は、息を吸うというのは交感神経、息を吐くというのは副交感神経(が働くもの)なんです。
なので、5秒で吸うというのは交感神経が5秒、10秒で吐くというのは副交感神経が10秒働きますね。
副交感神経が交感神経の2倍働くからいいじゃない、みたいな、簡単に言うとそういう話なんですけれども、それはそれです。

今は、横隔膜の話なわけです。
横隔膜の緊張を緩めるのには、思いっきり吸って、思いっきり自然と吐く、ため息なんです。
息を吸うときに肩が上がってしまってもいいです。
それでため息をつくときには、横隔膜と首の後ろが一緒に緩まるわけですね。
息を吸って、一瞬キュッと止めて吐くと、のども、収縮してから開きます。

筋肉の収縮があまりにも強いと、やはり自分の力ではどうにもならなくなってくるので、施術で外から緩めてあげたりすることも必要なんです。
でも、日常的にこういうこと(セルフケア)をやっておくと、少しずつ少しずつ自分の体が緩んできますので。

心と体を活性化させる方法

まずはブロックしているところを解除する。
ただ解除しても、これ(頭心体)を連結させるくせをつけないと、解除してもまた緊張しちゃうわけです。
で、ブロックするというのは悪いことではないんですね、社会で生きていくためには必要なことなんです。
なので、社会で生きていくためにブロックする、社会から離れたときには解除する、ということを意図的にやることが大切です。

体の感覚を感じる

例えば、体というのはですね、やりたいことをやっていれば健康なんです。

例えばお腹が空いたとき、何食べたいかなというのを想像するのではなくて、体にきいてあげるんです。
何を食べたいかというのは簡単に言うと、足りない栄養素を入れようとすることです。
なので、お肉が食べたいなとなったらお肉を食べればいいし、野菜が食べたいなとなったら野菜を食べる、魚が食べたいなとなったら魚を食べる。

これを皆さん、頭でやっているんです。
「昨日テレビで『納豆が良い』ってやってたから納豆を食べよう」とか、「こないだの雑誌に『発芽玄米が良い』ってあったから発芽玄米買いに行こう」とか。
それはそれでいいんですけれども、いま、今自分の体は何を欲しているのかなと。
足りない栄養素を求めているので。

感覚が正常になればの話ですが、食べたいものを食べていれば健康になります。
ただ、この「感覚が正常になれば」というのが意外と難しいんです。
僕らはこっち(頭)に左右されちゃっているので、影響があるわけです。

なので、なるべく体の感覚を感じるということを、さっきのため息とともに、毎日きちんと感じようとすることです。
お腹が空くたびに、「今体は何を欲しがっているかな。何かな…お肉かな、野菜かな…」とか。
たまに皆さんもありませんか?何かこれを無性に食べたいということ。
そういうのは、体がすごく求めているということです。

感情エネルギーを出す

次に心です。
心のほうは、自分が今どんな気持ちなのか、どんな感情なのか…嫌なことがあれば嫌な感情。
感情というのは本当は、良いも悪いも、プラスもマイナスも、ポジティブもネガティブもないんですよ。
その感情は、その人にとって必要な感情が起きています。

例えば、怒りという感情が出てきたとしますね。
「怒っちゃいけないよ」と僕らは子供のころから何度も言われていますので、「怒ったらいけないんだ」と思ってしまうんですけども、「怒り」という感情は、自分を守ったり、自分の大切な人を守ったりするエネルギーなんですね。
自分に危害が加えられる、自分の大切な人に危害が加わるかもしれないというと、怒りという感情をエネルギーにして、防御するわけです。

なので、「怒りを出さない」ということは、攻撃されても自分を守れないということなんです。
ただ、社会では簡単に怒れないんですよね、怒らなければいけないときもありますけども。
怒るべきときに怒るということが重要です。

もう一つ、怒りのエネルギーというのは、他でちゃんと出さないといけないんです。
怒りのエネルギーは何かというと、「声」と「筋肉の動き」なんです。

犬を思い出してみてください。
犬の餌を取ったら、犬はどうしますか?吠えて追いかけてきますね。
「自分の大切なものを取るな!」
「ワンワンワン!」
と大きな声で筋肉運動をし始めますよね。

体というのは、声と筋肉運動がとっても大事なんです。
実は声というのも、声帯にちっちゃい筋肉があって、それで声を出しているのと、横隔膜を使って息を吐くことによって声にしているので、これも筋肉運動なんですけど。
わかりやすくすると、(エネルギーを出すには)「声」と「筋肉運動」が必要ということです。
なので、「運動は体に良い」というふうに言われているんですね。

「エアロビクス運動をすると血管が若返って…」とかもあるかもしれないですけど、いちばん重要なのは、この「怒り」とか「憤り」とか「悔しさ」とかそういう感情を、ちゃんとエネルギーにして体で放出するということが、ここ(心と体)を少しずつつなげてくれるんです。
本当につなげるには、その人(怒りの対象)を目の前にして言えればいいんですけど、例えば、カラオケで「私の今の気持ちにピッタリ」という歌があったとすれば、それを大声で歌ったと思ってみてください。
気持ちいいと思いませんか?
「バカヤロー」と言いたいときに「バカヤロー」と言えるということは、ここ(心と体)がつながることなので、すごく気持ちいいんです。

よく(言いたいことを)手紙に書く、紙に書くということも言われますよね。
確かに紙に書くことでもつながっていきますけれども、筋肉運動がすごく小さいですね。
声を出すというのは、横隔膜がかなり働かなきゃいけないので。
そうは言っても、自分はちょっと気持ちが分からないとか、出したくないとかいろいろあるので、(心を使わずに)体だけで声とか筋肉運動を、ただカラオケをしたりただ運動をしたりというだけでも、やらないよりは全然いいです。

もやもやの正体とは…?

交感神経系と副交感神経系の感情

ここ(頭心体)を分断していると、当然感情が湧きませんね。
感情というのは、交感神経系の感情と副交感神経系の感情に分かれます。
交感神経系の感情というのは、簡単に言うと怒りだったり、副交感神経系の感情というのは、悲しみだったりします。

例えば、「すごく怒りたい」といったときに、セーブしますね。
そうすると、本来はここまで目いっぱい怒りたいんだけども、セーブして小さく怒ったとします。
昼間に交感神経が働けば、夜に副交感神経が働きます。
例えばセーブした怒りが3、目いっぱいの怒りが10だとすると、3の分だけ交感神経を働かせたことになります。
そして、3の副交感神経が働きます。

でももし10の交感神経を働かせれば、10の副交感神経が働きます。
交感神経も副交感神経も、より(たくさん)働けば、より動けますし、よりぐっすり眠れますね。
(体が)治るのも早いですね。
なので、こういった交感神経系の感情や、副交感神経系の感情をきっちり外に出していくということがとても重要です。

うつは交感神経も副交感神経も働かない状態

うつの人というのは、交感神経も副交感神経も少しずつしか働かせることができない状態なんです。
0.5くらいずつしか働けない。
(交感神経にも副交感神経にも)どっちにも行けない、だからやる気も起きないし、元気も出ないけど、眠れもしないし、ご飯も食べられない。
ご飯を食べる、眠るというのは副交感神経、やる気が出るのは交感神経。
元気になるのも交感神経。
どっちにもいかない、というのがうつなんです。

うつまでいかなくても、3、4、5くらい(ずつしか働けない状態)の人は、「なんか元気が出ないな」とい状態になりやすい。
なので、交感神経系の気持ちをちゃんとここ(心)で感じて、体で表現したり、言葉で表現したりすることが、とっても重要なんですね。
そしてそのときに、実は体から感じるわけです。

この中(頭心体)でいちばん大切なのは、「体」なんです。

なぜかというと、脳の構造というのは(玉ねぎのような)三層構造になっています。
いちばん外側の層が「頭」、真ん中が「心」、内側が「体」なんですけど、体というのは、心拍とか呼吸とかそういうものをコントロールしています。

例えば、脳梗塞が起きたとして、外側に起きると、腕が曲がった状態で固まってしまったりとかします。
心の部分というのは感情が出にくくなったりとか、あとは記憶に関係してくるところが近くにあるので、海馬とか、だから記憶が思い出せなかったりとかする。
体のところに梗塞が起きてその部分の脳が働かなくなっちゃうと、簡単に言うと、死んじゃうんです。
「脳死」という状態で、もう回復の見込みはない。
それぐらい、「体」というのはすごく重要です。
なので、この「体」というのを感じるというのが重要なんです。

「もやもや」をよく感じることが重要

皆さん「もやもや」って感じることありますよね。
「もやもや」と感じるけれど、それが「心」につながっていなくて、それがどんな感情かわからないという状態です。
「もやもや」を感じると、こんなの無いほうが良いと思うかもしれないですけど、「もやもや」はよーく感じたほうがいいんです。

今度「もやもや」とか「ムカムカ」とかがあったら皆さん、よく感じてみてくださいね。
この「もやもや」は、どんな色をしているだろう?
どす黒い、真っ黒な感じとか…人によっては渦を巻いているとか、緑色とか。
いろんな色がありますね。
あとは、どんな形か、表面の質感はざらざらしているのか、つるつるしているのか、でこぼこしているのか。
重さはどんな感じか、重たい、軽い、そうでもないとか。

こういうことをよく感じたあとに、「そこに顔があったらどんな表情?」を考えます。
怒っている、泣いている、無表情、いろんな表情がありますね。
こういうことをやっていくと、だんだん、自分の「もやもや」や「ムカムカ」にマッチした感情というのが、少しずつ分かってきます。
すぐには分からないです。
こういうことをしながら、体と心をつなげていくというのが大切です。