4つのストレスを減らす方法

2019年9月開催 心と体の勉強会 音声テキスト No.3

No.2では、自律神経が乱れるしくみや、交感神経と筋肉を使うことの重要性についてお伝えしました。
ここでは、自律神経を乱す「4つのストレス」を減らす方法について詳しくお伝えしていきます。

自律神経を乱す「4つのストレス」とは

じゃあこの「精神的ストレス」とか「構造的ストレス」とか「化学的ストレス」とか「温度と湿度のストレス」とか、どんなストレスが自分にはかかっているんだろうかということが気になりますよね。

精神的ストレスは「感情の抑圧」

「精神的ストレス」って何かというと、「イヤだな」と思うことです、簡単に言うと。
でも実は、「イヤだな」と思うことって、精神的ストレスのうちほんの少しなので、もっと大きなものがあるんですね。

精神的ストレスの大きいものがふたつあるんですけど、そのうち1つは「抑圧」というやつなんですね。

「抑圧」って何かというと、簡単に言うと「我慢すること」です。
とくに、「感情を我慢する」というのが非常に大きなストレスです。
感情って何、というといろいろあるんですけど、「二大感情」と言われているものが「怒り」と「悲しみ」ですね。

「怒り」や「悲しみ」を外に出す

例えば「怒っちゃダメですよ」とか、男性だと「男のくせに泣くな」とか言われてきましたね。
そうすると、悲しんじゃいけないとか…女性の方だと「おしとやかに」なんて言われて育ったかもしれないですけど、声を荒げて怒ったりしちゃいけないんだ、という風に教育されるわけです。
確かに、社会で生きていくと、そっちのほうが「いい人」なんですけども、「いい人」ほどうつになりますからね。
こういうもの(感情)をやはり外に出していかなければいけない。

かと言ってまさか上司に直接出すことは出来ないので、そういうのを、先ほど言った「筋肉を使ってエネルギーを外に出していく」ということが必要なんですけども。

ちなみに「怒り」というのは交感神経を活性化させて、「悲しみ」というのは副交感神経を活性化させます。

「怒る」というのは交感神経を活性化させて何をするかというと、さっきの牛とライオンの話じゃないですけど、交感神経というのは自分を守るために働く、怒るんですね。
自分の大切な人やものを守るために怒るんですね。
怒っちゃいけないというのは、自分を大切にしないということになっちゃうんですね。

もちろん、人のいる世の中ですからね、言い方とかいろいろありますけどね。
「怒り」というものをちゃんと表現して良いんだっていう、表現の仕方はありますけど、まずは自分にOKを出していかないと。

「泣く」というのは何をしているかというと、自分を癒しているんですね。
自分を癒す作用なんです。
なので、泣かないというのは自分を癒さないということなんです。
頑張ったり傷ついたりしたときに、自分自身を癒さないということは、回復できないんです。
泣いたほうが回復できるんですね。

なので、怒ったり悲しんだりということを、我慢しないで…我慢するべき時は我慢しなきゃいけないんですけど、自分のプライベートの時間まで我慢するんじゃなくて。
仕事の場合はもちろんできないですね、僕がここで怒ったり悲しんだりしたら皆さんおかしく感じますよね。
だから仕事の時というのは、当然これらを抑圧しなきゃいけないですから、それは仕事ですから仕方がないです。

だけどそうじゃない時に、こういうもの(怒りや悲しみ)を出すっていうのを心がけなきゃいけないですね。

例えば悲しみなんていうのは、泣ける映画を観たりとか、ドラマを観たりだとか、そういうものでもいいですし。
怒りというのはさっきも言ったように筋肉運動ですから。
あとは「大声」です。

だからカラオケに行って大きな声で歌うなんていうのもすごく重要なんですね。
ただ、上手く歌おうとしてはダメです。
上手く歌おうとすると、のどのあたりで調整しようとするので、結局抑圧がかかっちゃうんです。
そうじゃなくて、自分のエネルギーをそのまま出す、みたいな。
もう吠えるように歌ったって別に良いんですよ。
そういうことがあったほうが、逆に健康的なんですね。

なので、こういうもの(怒りや悲しみ)を上手くエネルギーとして出していく。
感情というのはエネルギーですから。
そうすると、精神的ストレスというのはだんだんだんだん少なくなっていきます。

世の中イヤなことだってそりゃ起きます。
しょうがないですよね。
イヤなことを起きないようにするのは無理です。
でもイヤなことが起きた時に、必ずそこには感情があらわれます。
その「感情があらわれるということに対しての抑圧」が精神的ストレスなんです。

ポジティブな感情に置き換えて外に出す

もうひとつは…感情にマイナスもプラスもネガティブもポジティブもないんですけど、社会的には怒りや悲しみはネガティブと言われるじゃないですか。
だから、社会的に「ポジティブ」と言われている感情に変えて出す、ということもできます。

そうすると、交感神経の場合は「喜び」なんです。
例えば、サッカーとか野球とか、これからラグビーが始まりますけども、来年のオリンピックとか、あれは「ワーッ!!」という応援で、応援していると交感神経が上がってきますから、ああいうもので交感神経を高めるということもできますね。

もうひとつ、副交感神経は「懐かしみ」です。
懐かしい時に、「うわー懐かしいぜ!」と興奮する人はあんまりいないですよね。
「ああ、懐かしい」とトーンが落ちてきますよね。
昔の自分のアルバムとか、昔通っていた小学校とか中学校に行くとか。
昔の漫画を読むとか、雑誌を読むとか。
そういった懐かしい感じにいくと、自然とトーンが落ちてくるわけですね。

なので、怒りや悲しみが出せない状況の時には、代わりの感情に変えて出すということも出来ますね。
怒りや喜びを出すと交感神経が活性化するんですね。
悲しみや懐かしみの感情だと、副交感神経が活性化するんですね。

そうすると、活性化したあとに落ちますから。
抑え込まれた副交感神経も高まってくる。
これが、精神的ストレスを少なくしていく方法ですね。

構造的ストレスは「姿勢」と「呼吸」

良い姿勢は呼吸がしやすい

もうひとつ、「構造的ストレス」ですね。構造的ストレスというのは、いちばんは「姿勢」なんですよ。
例えば、皆さん「思い出すとイヤなこと」ってあるじゃないですか。
思い出すとイヤなことも、だらっとした悪い姿勢で思い出すのと、まっすぐ向いた良い姿勢で思い出すのとでは、ストレス度が全然違うんですね。

構造的というのは、「姿勢」と「呼吸」なんですね。
「呼吸」というと、「どうしたらいいんですか、腹式呼吸が良いんですか」という風に言われるんですけど、もう何でもいいんですよ。
とにかく大きく、ゆっくり、これを繰り返してください。
だから大きく吸って、ゆっくり吐いて、吐き切ったらもう1回大きく吸って、またゆっくり吐いて…とやっていると、酸素がどんどん体の中に入ってくるんです。

うつや自律神経失調症の方は、呼吸が浅くなっちゃっている人が多いんです。
ひとつは筋肉の緊張でもそうですし…筋肉が緊張して姿勢が悪くなっていると、呼吸もだんだん浅くなっちゃうんですよ。
だから姿勢を正すというのがすごく重要で。

で、姿勢を正すときにですね…皆さんちょっと姿勢を正してみてもらえますか?
「姿勢を正してください」と言うとだいたい皆さん胸を張って良い姿勢を作ろうとするんですよ、極端に言うと。
これは姿勢を正しているのかもしれないですけど、ただ緊張させているんです。
力の入らない、自然な姿勢が良くて、息を吸うと大きく吸えるような姿勢が良いですね。

体の厚みが増すようなイメージの呼吸を

自律神経失調症の方の典型的な呼吸は、肩を上げ下げするように、上下に息をするんですね。
上下ではなくて、息を吸うときに(前後の)厚みが増えるような感じで呼吸をすると良いですね。
吐くときにはちょっと薄くなる程度に。

だから、(息が)胸にも背中にもお腹にも腰にも入る。
そういう呼吸を心がけるようにした方が良いですね。
そうやって大きな呼吸をしていると、自然と酸素が体の中に入ってきますので。
それだけでエネルギーが増えていきます。
酸素というのは結局エネルギーになりますので。

なので、「体のゆがみ」とかも修正する必要があるんですけども、その修正が出来たとしても、姿勢が悪ければ、呼吸が浅くなってきちゃうので、ゆがみの治療をしていても何にもならないですね。
自然な姿勢をとるということがすごく重要ですね。

化学的ストレスは「カフェイン」と「糖」

「化学的ストレス」でいちばん重要なのは、「カフェイン」ですね。
カフェインとあと、「砂糖」です。

血糖値の急上昇に注意

糖分というのは確かにエネルギーになるんですけど、糖の「入り方」というのがすごく重要なんですね。

例えばお砂糖というのは、摂ると血糖値がグッと急激に上がるんですね。
血糖値がグッと上がると、上がりすぎちゃうと(体内で)「インスリン」というのが出てきますね。
それで血糖値を下げるんですけど、急激に上がるとインスリンも大量に出るので、今度は下がりすぎちゃうんですよ。

で、血糖値が下がった時というのは、うつと同じ症状が出るんですよ。
やる気が出ない、呼吸が苦しい、何に対しても興味が湧かないとか、そういった症状が出てきちゃうんです、低血糖の時には。
頭痛が起きたりもしますね。

最近「糖質カットダイエット」みたいなのがありますけど、そういうことをする必要はないんですよ。
ただ、砂糖、甘いもの…甘いものというのはすぐに血糖値を上げちゃうんですね。
例えばご飯、白米よりも玄米の方が良いんですけども、ご飯をよく噛んで食べるとか。
お米を食べる前に野菜とかお肉とかを食べるとかすると、血糖値というのは徐々にしか上がっていかないので、急激に上がる心配はないんですね。
お砂糖というのはグッと上がっちゃう。
グッと上がるとグッと下がるしかないんですよ。
下がったらまた甘いものを食べたくなってきて。
また甘いものを食べてグッと上がって下がって…ということになって。

結局、この血糖値が上がったり下がったりする落差に疲れてきちゃうんですね。
なので、お腹が空いてきた時には、その辺のチョコをぱくっと食べちゃうんじゃなくて、例えばちっちゃいお弁当みたいなおかずもあり糖質もありみたいなもので、出来るだけ血糖値を急激に上げないようにしたほうが良いですね。

カフェインは元気の素ではない

あと「カフェイン」というのはもう、やめたほうがいいです。
症状がある時には。
症状がない時はいいんですよ。
症状が落ち着いているときには、飲んでください。

僕は28歳の時にうつになったんですけども、最初は知らなかったんですね、コーヒーがダメ、砂糖がダメだっていうことを。
なので、甘いパンにコーヒーとか飲んでたんですけど。
力が出ますからね、一瞬元気になったような気がします。
でもそれがダメなんだと分かるようになってからは、一年半やめました。
コーヒーと砂糖、甘いものを。

なので、やめたほうがいいんですけど、じゃあ僕は今コーヒーを飲んでいないかというと、たまに飲んでます。
症状がないから。

症状がない時、元気な時は簡単に言うと何をしてもいいんです。
元気じゃなくなった時に、ストレスを少なくしないと…ストレスというのはエネルギーをとられるものなんです。
疲れている時とか症状がある時というのはエネルギーがない時です。
エネルギーがない時にストレスがかかるようなことをやっちゃうと、エネルギーがさらになくなっちゃう。
だからエネルギーがない時とか、疲れやすいとかいう人は、ストレスをできるだけ少なくする。

そのためには、化学的ストレスのコーヒー、紅茶、緑茶、コーラ、ドリンク剤などのカフェインの入っているものはできるだけ飲まない。
ノンカフェインの紅茶とかなら良いですけど。
あとは麦茶とかお水とかお湯とかそういうものにして。

で、甘いものは摂らない。
できるだけ摂らないようにしたいけど、でも「どうしても食べたい」ときってありますよね。
そういう時は、食後にちょこっと食べるくらいならなんとかギリギリ大丈夫です。
空腹時に食べると急激に血糖値がバーンと上がっちゃうので、非常に良くないんです。
なので、「本当にもう食べたい!」というときは、食後にほんのちょこっと食べるというくらいにしておけば、まあいいかなと。

温度と湿度のストレス

できる限り快適な温度と湿度にする

「温度と湿度のストレス」ですが、「気圧」はもう仕方がないです。
気圧は変動するものですから。
密閉しても無理ですので。

ただ、「温度」と「湿度」は快適にしてください。

さすがに今年の夏なんてエアコンつけない人はいなかったと思いますけど、「エアコンが体に悪い」というのは、昔のことですから。
今はエアコンつけていた方が体に良いです。
ちゃんと適温にしておく。
暑くて起きちゃうくらいだったら、ちゃんとエアコンをかけてぐっすり寝たほうがいいです。

元気なら良いんですよ、さっきも言いましたけど。
元気なら良いんです、多少暑くても。
なので、適温・適湿にするように。

ストレス量を調整して回復力を上げる

これらをやっていくと、4つのストレスが少なくなっていきますね。
ストレスが少なくなると、交感神経が緊張しなくなりますので。

交感神経が緊張するとどうしてもエネルギーを取られますので、鎮まってくると、エネルギーも浪費しなくなってきて、副交感神経がちゃんとエネルギーを使えるようになるんですよ。

ここが重要なんですね。
エネルギーというのは有限なんです。
交感神経が使うか、副交感神経が使うか、どちらかなんです。
交感神経がたくさん使ってしまうと、残りわずかなので副交感神経がちょっとしか使えない。
交感神経があんまり使わなければ、副交感神経がちゃんとエネルギーを使える。

なので、こういうストレスを出来るだけ少なくするというのが、うつの段階でも自律神経失調症の段階でも必要になってきます。