カフェインの医療知識

更新日:2018.07.02

執 筆:整体師 荒木晶子

カフェインの様々な作用

カフェインには、

  • 覚醒作用
  • 興奮作用
  • 血管収縮
  • 血圧・心拍数の上昇
  • 呼吸の増加
  • 気管支拡張
  • 脂肪異化作用
  • 代謝の上昇
  • 中枢神経活動の低下
  • 脳内血流の変化
  • 疲労感覚の低下
  • 利尿作用
  • 消化分泌物の増加

などの作用があります。
(コレステロールの上昇は、カフェインのみではなくコーヒーの成分によるものとも言われています)

カフェインの薬理作用

また、カフェインには薬理作用もあり、実際に医療の現場でも使用されています。
薬剤としての使用の多くは、

  • 利尿剤
  • 心筋刺激剤
  • 中枢神経刺激剤
  • 平滑筋弛緩剤
  • FFA(遊離脂肪酸)の血漿中濃度の引き上げ

といった効果にかかわるものです。
また、

  • 喘息などの肺の疾患の軽減及び予防
  • 脳の血管を収縮させ頭痛を和らげる鎮痛剤
  • 時差ぼけの予防
  • アトピー性皮膚炎の外用薬
  • パーキンソン病の予防

などにも使用されています。

また、利尿作用、下剤作用、代謝促進の働きがあるため、ダイエット補助剤としても使われてきました。
これはアメリカでは1991年に既に禁止されましたが、近年ではバターを入れたバターコーヒーという飲み物を朝食代わりにするダイエット方法も新たに流行しました。

医薬品に含まれるカフェイン

医薬品の種類 1錠、1カプセル中に含まれる量
鎮痛剤 33~65mg
感冒薬 30mg
食欲抑制剤 140~200mg
利尿剤 100mg
処方薬 32~100mg
眠気防止薬 100~200mg

カフェインは不眠・不安・疲労などを招く

カフェインの覚醒作用は、当事者が疲労しているか否かに関係なく活動能力を向上させます。
眠気や疲労感を取り除き、注意力が上がるように感じますが、記憶力や知的能力の向上には繋がりません。

さらに、カフェインの作用が弱まった時に虚脱感を感じます。

敏感な人は、

  • 落ち着きのなさ
  • 不安感
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 筋緊張
  • 不眠

を感じることもあります。

研究者の間では、一般的にカフェインは不安を生成する物質とみなされています。
アドレナリンが増加し、興奮、緊張、恐怖、心拍を強く速く、呼吸を早くし、不安を生み出すと言われています。

アメリカ精神医学協会の『DMS−Ⅳ』によれば、カフェインが引き起こす不安障害は、コカインなどの向精神性物質と同じようにパニック障害や全般性不安障害、社会恐怖症、強迫神経症に似たものまで含んでいると記載されています。

また、濃いコーヒーを一杯飲んだ後では、眠りにつくまでに通常の4倍の時間が掛かるとされます。
筋肉は緊張し、興奮により眠りが浅くなり寝返りが増えます。

50歳以上の実験では、夕方以降のカフェイン摂取で睡眠時間が2時間減ることが明らかになりました。

まれに、不眠のみならず過眠にも影響すると言われています

カフェインは命に係わることもある

カフェインには依存性や中毒性はあるのでしょうか。
ドラッグのように反社会的行動を起こす依存は「臨床的依存症」と言いますが、その物質を止めた時に禁断症状が起こるだけの場合「身体的依存」と定義されています。

カフェインには身体的依存性があるため、突然カフェインを止めると深刻な頭痛を起こすなどの禁断症状が出る場合があります。

典型的なのは頭全体がズキズキする痛みで、酷い場合は嘔吐や風邪に似た症状が伴います。
これは脳内血流の変化によるもので、運動で悪化するがカフェイン摂取で和らぎます。

通常は数日で治りますが、中断後10日以上経っても散発的に起こるという人もいます。

カフェインの一般的な禁断症状としては、次のものが含まれます。

  • 眠気 ― 嗜眠、あくび
  • 仕事上の支障 ― 集中力の欠如
  • イライラ ― 満足感、幸福感、自信の減退
  • 社交性の低下 ― 親密感やおしゃべりの減少
  • 流感に似た症状 ― 筋肉の痛みと凝り、一時的な熱っぽさ、あるいは寒気、吐き気、目のかすみ など

他にも抑鬱の増大、不安感、精神運動能力の低下などが報告されています。

カフェインの排出は約12時間ですが、禁断症状は摂取を止めてから12~24時間後にはじまります。
通常24~48時間内にピークに達し、継続時間はおよそ2日~1週間にわたります。

ただし、カフェインを突然極端に減らすと頭痛が起こり得るという報告もあるので注意が必要です。

「不眠・うつ・不安・疲労などの原因になるカフェインの真実」

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  2. カフェインの基礎知識
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