逆流性食道炎・胃炎・胃潰瘍の原因と対策

更新日:2011.07.01

執 筆:整体師 飯島淳

自律神経が乱れると消化管にどのような影響が出るのか

このページは自律神経失調症やうつで消化管(主に胃)でよくおこる症状を解説しております。

胃食道逆流症(逆流性食道炎)

現在どんどん増えているのがこの症状。胃液が食道の中に進入して、細胞が傷ついたりする症状です。通常胃の中のものは、逆流して食道に流れないように筋肉で閉じているのですが、それに何らかの影響で働かなくなってしまった場合に起きてしまうのです。

そして、この影響で胃酸などにより食道の粘膜がただれてしまった状態を逆流性食道炎といいます。逆流が続き大きな傷を作ってしまうと、食道潰瘍を引き起こします。
潰瘍になると血管に傷がつき、出血します。出血が起こると口から血が出たり、便に血が混じっているということも起こってきます。

傷が治るとその部分に手術の跡のような収縮が起きます。これを瘢痕(はんこん)収縮といいます。瘢痕収縮が起きた時に問題なのが、食道の中が短軸方向に収縮することです。こうなると食道の中が狭くなってしまいます。それが繰り返し起きているような時は、食道下部がどんどん狭くなって飲み込みに辛さやつっかえたり嘔吐が出るようになってしまいます。

では、先ほど述べたような、胃から食道へ逆流してしまう原因としては、食道下部にある筋肉の働きが悪くなるということです。なぜこの筋肉の働きが悪くなってしまうのでしょうか。

胃食道逆流症(逆流性食道炎)の原因

まず考えられるのが加齢によって筋肉がゆるんでしまってきた状態。その他には、太ってしまってそこの筋肉に力が入らなくなってしまって状態などがあげられます。中高年の太った男性・腰の曲がったやせぎみの高齢の女性に多くみられるというデータが出ているようです。

それから、食道と胃の境目にある横隔膜がゆるんで胃の上部が食道の方へ出てきてしまう。これは、食道裂孔ヘルニアと呼ばれています。こうなると胃液は食道の方に逆流しやすくなります。また、食道の下部の筋肉は、脂肪分の多い食事やアルコールの摂りすぎなどによりゆるんでしまうこともあります。こうなると胃食道逆流症を起こしやすくなってしまいます。


逆流性胃腸炎が増えてきている原因の一つに、ピロリ菌の減少があげられます。
昔に比べてピロリ菌の感染者がかなり減っているのです。ピロリ菌に一度感染していると、特別な治療を行なわない限りは除去できません。ピロリ菌が生息できている状態が続くと、慢性胃炎や胃潰瘍を起こしやすくしてしまいます。慢性胃炎が続くと胃の細胞が壊れて胃液を作りにくくさせてしまいます。

胃液が少なくなれば、胃潰瘍になりやすくなり、そして逆流する胃液も少ないので、逆流性食道炎になりにくくなります。ピロリ菌は、胃の粘膜を守る粘液の中や細胞内にひっそりいる為に、胃酸の影響を直接受けることがなく生きていられるのです。

ちなみにこのピロリ菌、経口感染するので厄介です。胃酸の逆流などにより、口にもいる場合があるのです。その状態ですと、同じコップを使用したり・同じお箸で食べたりという行為で感染するというケースが考えられます。

逆流性食道炎が増えていっている原因で、ピロリ菌の減少の他の要因と考えられるのが、脂肪分の多い食生活・肥満の増加・そして高齢化によって増えてきていると考えられます。ピロリ菌は、大人になった時には、除菌治療を進められますが、子供の頃に感染が確認されても、大人になるまで再度感染する可能性があるので除菌治療は行なわれないことの方が多いようです。

急性胃炎

急性胃炎の原因は、暴飲暴食・菌の付いた食べ物を食べた時による食中毒・それからサバや卵やエビなどによる食物によるアレルギー・ウイルスの感染症など原因は様々。
また、ストレスが原因で急性胃炎になるケースもあります。

現代では、このストレスによる急性胃炎の方が多くなってきているようです。
「胃は第二の脳」なんて言われたりします。ストレスによる反応が出やすい場所であるのです。

症状としては、みずおちの痛み・吐き気・下痢・嘔吐や吐血に下血といった症状が出てきます。痛む時間の長さや、回復までの時間もまちまちです。
通常2~3日で安静にして、適正な食事をしていれば治まってきます。

胆石や虫垂炎の初期症状と似ているので、自己判断はせずに、病院にて検査されることが望ましいでしょう。

慢性胃炎

胃の粘膜のただれや急性胃炎からの状態によって慢性胃炎へと移行することが主とされています。慢性胃炎特有の症状というのは特に現れにくいのが特徴。
これもストレスやアルコール・コーヒーやカレーといった強い刺激物などによっても粘膜が傷ついてしまいます。

初期には、胃の終わりの部分(幽門)のあたりが萎縮してきます。胃の粘膜が荒れて、お腹が空くと胃の上の部分が重苦しくなってきます。
胃酸過多の状態になっています。胸やけや吐き気などの症状も出てきます。
この症状は、数年にわたって続くというケースもあるようです。

胃潰瘍

胃の粘膜がいつもは胃酸から胃を守っているのですが、ピロリ菌の感染や薬物、それからストレスや暴飲暴食など、様々な要因から胃酸分泌が刺激されてそこから胃を守ることが出来なくなってしまい、胃の粘膜の防御力が弱くなってしまい、潰瘍ができてしまうのです。

通常胃の上の方から痛みが襲ってきます。胸やけ感・重苦しい・食後の30分ぐらいすると痛み始める・空腹時痛などの症状があります。

また、油っこいものや糖分が多い食事をしていてもなりやすくなってしまいます。
軽い症状の時には、医師にかからない人もいたりしますが、改善には医師からの薬と良い食生活をすることがとても大切です。

症状が強く出てくると、嘔吐・下血などの症状も出てきます。そのまま進行して、胃に穴が開いて、胃液や食物がお腹の中に流れ出してしまうケースもあります。それを放置しておくと腹膜炎を起こしてしまいます。
軽症だと、胃潰瘍に気が付かないぐらいの場合もあるようです。