呼吸を整えて安心感を得る

更新日:2020.11.06

執 筆:整体師 飯島淳

ストレスが強くなると、呼吸は浅くなります。その影響で、不安感が強くなってしまいます。
呼吸の仕方によって、心には様々な影響が出ます。
不安感を安心感へと変えるため、まず始めに呼吸にアプローチしていきましょう。

安心・安全

みなさんには、安心していられる環境、安全と思える場所はありますか。

野生動物には、安心・安全な場所は少ないかもしれません。
気を抜いていると、あっという間に天敵にやられてしまいます。
危険を察知するためのセンサーは、いつも感度良く働いているのです。
天敵を見つけたら一瞬で交感神経を上げて、筋肉に力を与えます。そして戦う準備に入ります。
時には、逃げる準備に入る場合や、ストレスのあまり動けなくなる場合もあります。

人間も、危険を察知するためのセンサーをしっかりと持ち合わせています。
相手の態度や表情・言葉使いによって、自分に危険が起こっていると察知します。すなわち、ストレスがかかるということです。
見るもの・聞くもの・それから感じるものによって、危険か安全かを認識します。
見るものについては、自分に直接影響がなくても、脳が危険と捉えることがよくあります。
怒鳴っている人を見かけたり、ゾンビが人を襲っているシーンなどをテレビで観たりすると、自分の脳で危険と認識してしまいます。
はたから見たら小さな出来事や、見ただけのシーンでも、無意識に危険信号が出るのです。

その逆で、相手の表情や声を聞いただけで、安心というセンサーが作動することもあります。
この時は、副交感神経が活動してくれます。
お母さんの優しい声を聞いたり、人がにこやかにほほ笑んでいる映像を観たりするときですね。

安心・安全は、無意識の反応で起こります。 ストレスが多くかかっている時には、安心を得られる表情を探して見るようにしましょう。

呼吸の大切さ

フリーダイビングというスポーツがあります。
足にフィンを付けて、海の中を100メートル以上潜って行き、そしてまた浮上するというスポーツです。
水圧もあれば、息を止めている時間も長く、そして緊急浮上などもあり、競技中亡くなってしまうこともあるようです。
この競技を行う選手達は、呼吸のちょっとした変化が命取りになることを知っています。
潜っている最中「無理かも?」と不安になると、ストレス反応で体は酸素を多く消費します。
すると、あっという間に苦しくなり、限界が訪れます。

このように、不安になると呼吸は浅くなります。
また、呼吸一つで、心持ちも大きく変化するのです。

ゆっくり深呼吸をして酸素が脳に送られることで、抑制機能がしっかり働きます。
この時、副交感神経が活発になり、不安は弱まります。

不安が頭の中をグルグル回っているという時、まずは自分の今の呼吸に意識を持っていきましょう。そして、浅く早くなっている呼吸を、ゆっくり深い呼吸に変えていくことが必要です。

落ち着いた呼吸をすることで、安心感などが得られます。

思考で色々チャレンジする前に、体からアプローチしましょう。
その一歩目として、呼吸から変えていきましょう。