息苦しさと口の関係

更新日:2021.03.05

執 筆:整体師 飯島淳

病院の検査で異常が見つからない息苦しさは、自律神経の影響で起こることがあります。
今回は、口の周りの緊張が関係する息苦しさについてお話しします。

ストレスと口の周りの関係

自律神経が乱れている時に、顎関節に痛みが現れることは多くあります。
何故なら、ストレスと口の周りには大きな関わりがあるからです。

ストレスがかかると、口の周りや舌は緊張しやすいです。
嫌なことがあって食いしばる時や、自分の意見をなかなか声に出すことが出来ず口・舌・のどの動きが悪くなる時など、ストレスを声や表情で表現・発散する機会が少ない場合、口の周りの筋肉を縮めて耐えしのいでいるのです。

ぐっと口を真一文字にして耐える。
思い浮かぶ表情ではないでしょうか。
決して楽しそうな表情ではありません。

口を動かして発散していないと、段々こわばりが強くなってしまいます。そのことで、ストレスは溜まる一方です。

ストレスの中でも、無意識な情動は、コンマ何秒かで反応します。危機だと脳が判断した場合、自覚がないまま筋肉の緊張まで起こっているのです。

例えば、黒い小さな固まりを見て「ゴキブリ??」と思った場合、脳が反応して交感神経を高め、緊張に至ります。
しかし、数秒後にしっかり見えて「ゴキブリ」ではないことに気が付きます。
すると、理解の中では落ち着きますが、脳の中では興奮が瞬時に取れません。
このような時も、口の周りに緊張が残ることがあります。

ストレスの反応で、口に力が入るのはある意味仕方がない部分はあります。
そういうものだと理解しておくことで、のちに口を緩めようとするケアに繋げていくことが重要です。

息苦しさと情動

副交感神経の約80%も占めているのが迷走神経です。
この神経は、口のエリアから気道や食道・心臓・肺・横隔膜や内臓をも支配しています。
心臓は、本来心拍をどんどん速めるように働きます。
しかし、この迷走神経によって、心拍が速くなり過ぎないよう、1分間に60~80回ぐらいに抑えられているのです。

ストレスの情動によって瞬時に口がこわばる時は、交感神経が高まり、迷走神経を使っての抑制が上手く効きません。
そのことで口の周りやのどが締め付けられると、息苦しく感じます。
そして、口の周りやのどにとどまらず、横隔膜の方まで緊張が及ぶと、息苦しさがもっと広範囲になっていきます。胸が苦しいという状態にもなります。

息苦しい時には、口の周りから緩めていくことが重要です。
辛い想いを声に出したり、誰かに聞いてもらったり、と言語化することで、ストレスの緩和にも繋がります。
そして、声を出すので、口やのどの筋肉の運動になり、緊張が緩められます。
他にも、大きく口を開け閉めしたり、舌を出し入れしたりしてケアをしましょう。


ストレスの影響で息苦しい症状は現れます。
それはとても広範囲で起こります。
そのような時は、情動反応で起こる表現豊かな口の周りの筋肉群を意識的に動かし、息苦しさの改善を目指しましょう。