寒暖差が脳を疲れさせる

更新日:2026.03.02

執 筆:整体師 飯島淳

3月・4月になると、はっきりした原因がないのに体調を崩す方が増えます。

朝がつらい。頭が重い。眠りが浅い。動悸が出やすい。気分が不安定になる。
「特別なストレスはないのに、なぜかしんどい」

その背景にあることが多いのが、寒暖差による脳の疲労です。

寒暖差で脳が疲れる

春は一日の中で気温が大きく変動します。朝晩は冷え込み、日中は汗ばむほど暖かい日もあります。体はその都度、体温を一定に保とうと働きます。
この体温調節を担っているのが、脳の奥にある視床下部です。
視床下部は体温だけでなく、血圧、心拍、睡眠、ホルモン分泌など生命維持に関わる機能を統合的にコントロールしています。

そして、実際に血管の収縮や発汗を調整しているのが自律神経です。
寒暖差が大きいということは、視床下部が何度も体温を保とうと指令を出し、そのたびに自律神経が働くということです。
いわば「軽いダッシュと小休止」を繰り返している状態です。
体は順応しているように見えても、その調整は脳のエネルギーを確実に消耗させています。

さらに春は、生活環境の変化も重なります。
新年度の始まり、人間関係の変化、生活リズムの変化。
こうした刺激は、脳の警戒装置である扁桃体を活性化させます。
扁桃体が反応すると交感神経が優位になり、体は活動モードに傾きます。
本来であれば、夜になると副交感神経が働き、体は回復・リラックスモードに入ります。
しかし寒暖差と環境変化が重なると、交感神経が下がりきらず、回復への切り替えがうまくいきません。
その結果、眠りが浅くなり、寝ても疲れが抜けない状態が続きます。

もともと首や肩の緊張が強い方、呼吸が浅い方、責任感が強く気を遣いやすい方は、神経が緊張側に傾きやすい傾向があります。そこへ寒暖差が加わることで、めまい、胃腸の不調、食いしばり、頭重感などが現れやすくなります。

これは体質ではなく、脳の調整力が一時的に低下している状態です。
神経は消耗すると過敏になり、わずかな刺激にも強く反応するようになります。
音や光が気になりやすくなるのも、この影響です。

脳を休ませる工夫を

寒暖差そのものを避けることはできません。
しかし、脳を休ませる工夫はできます。
首元を冷やさないこと。吐く息を少し長めにすること。夜は強い光や情報を減らすこと。予定に余白を作ること。
こうした小さな習慣が、視床下部と自律神経の回復を助け、過剰な緊張を鎮めていきます。

毎年春に体調を崩す方は、「この季節は仕方ない」とあきらめる必要はありません。
寒暖差と環境変化が重なる春は、誰にとっても神経が消耗しやすい時期です。
だからこそ、症状が強くなる前に整えることが大切です。
脳の疲労を早めに回復させることで、春は穏やかに過ごせるようになります。

特に生活に変化のある方は、がんばる前に、まず神経を休ませる時間を作ってください。
それが結果的に、いちばんの近道になります。