更新日:2025.09.01
執 筆:整体師 飯島淳
8月から10月は台風の季節です。
台風が近づくと「頭痛がひどい」「めまいがする」「体がだるい」といった不調を訴える方が増えます。
これは気のせいではなく、気圧の変化に体が反応し、自律神経が乱れるために起こります。
台風が来ると、気圧が大きく下がります。
体の内部は常に一定の圧力に保たれています。
ところが、気圧が下がることで、体の内側の圧が強くなり、拡張しやすい状態になります。
標高が高いところでポテトチップスの袋がパンパンに膨らむ現象と同じです。
この時、血管も拡張して副交感神経が優位になります。
その後、バランスを取ろうとして交感神経が活性化し、ブレーキとアクセルを同時に踏むような状態になり、自律神経に大きな負荷がかってしまうのです。
気圧の変化は全身に影響しますが、特に大きく関与するのが「内耳」です。
内耳は外気圧と頭蓋骨内の圧力を調整しています。
トンネルで耳が詰まる感覚もその反応の一つです。
内耳には、平衡感覚や音を伝える器官があり、そこを満たすリンパ液が気圧の変化で影響を受けます。
その結果、めまいや耳鳴り・頭痛が起こります。
さらに、脳や脊髄を守る「脳脊髄液」も気圧変化の影響を受けます。
脳脊髄液は頭蓋骨の中を一定のリズムで循環し、脳や神経に栄養を運び老廃物を流す役割を担っています。
気圧が乱れるとこの循環も滞りやすくなり、頭が重い、集中できない、体がだるいといった症状につながります。
そして要となるのが「脳幹」です。
脳幹は自律神経の中枢であり、呼吸や心臓、消化などの生命活動をコントロールしています。
気圧の変化で内耳や脳脊髄液からの負担が脳幹にかかると、自律神経は過敏に反応し、頭痛や不眠、気分の落ち込みなど多様な不調を引き起こすのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
実は「頭蓋骨」が大きなカギを握っています。
頭蓋骨は23個の骨が組み合わさってできており、その中で内耳や脳、脳脊髄液が働いています。
頭蓋骨にゆがみや緊張があると、内耳の働きや脳脊髄液の流れが妨げられ、脳幹に余計な負担がかかります。
その状態で気圧が変化すると、自律神経は必要以上に乱れてしまうのです。
逆に、頭蓋骨が整っていれば、内耳の負担が減り、脳脊髄液がスムーズに流れ、脳幹が安定して働けるようになります。
その結果、気圧の変化に振り回されにくくなるのです。
日常のケアとしておすすめなのが「深呼吸」です。
深い呼吸をすることで、お腹・胸・頭蓋骨の空間がしっかり動きます。
頭蓋骨がしっかり動くことによって、脳脊髄液の循環が促進され、神経伝達や血液の流れも良くなります。
また、施術によって、頭蓋骨を中心に呼吸や内臓の調整を組み合わせ、自律神経が本来のリズムを取り戻せるようにすることも必要です。
気圧の変化は避けられませんが、体の仕組みを理解し、内耳・脳脊髄液・脳幹を整えることで、不調を軽減し、快適に過ごすことができます。