今昔物語 齊藤佳穂 VOL.6

前回は、周りの期待に応えようとした高校生編でした。

大学では、人のためになりたい、悲しい思いをしている人の助けになりたいと、心理学を学びました。
そのなかで出会った言葉が「心身相関」です。
大切な会議の前に心臓がバクバクしたり、不調で寝込んでいると人恋しくなるなど、体と心が密接に関わっていることを指します。
この言葉に出会ったことで、体を整えることで心の不調も改善できるのではないかと考えるようになりました。この業界に興味を持つきっかけでもあります。

また、大学では勉強すると同時に、人生初のアルバイトを経験しました。
高校時代にできなかったためアルバイトへの憧れは強く、検索サイトで調べるとやりたいものがいくつもみつかりました。
2つまでに絞ったのですがそこから決められず、どうせ受からないだろう...と思い2つ面接を受けて、受かった方で働くことにしました。
結果は両方合格。
人手が欲しくて募集しているので当たり前ですが、経緯を伝えて辞退しようとするともう一方を辞退するよう双方から言われ、結局2つのアルバイトを掛け持ちすることになりました。

朝5時起きで喫茶店で働き、そのあと大学で勉強。大学が終わったら近くのホテルで配膳をし、夜遅くに帰るという生活が始まりました。
慣れないアルバイトは学ぶことが多く、ミスも多かったですが、周りの優しいひとたちに支えられていました。

しばらくそんな生活をしていると、なにかしていなければ...という気持ちが強くなっていきました。
予定がないとなにをして過ごせばいいかわからず、大学やアルバイト以外にもサークルへの参加や友人と遊びに行くなど、手帳が全部埋まるまで予定を入れていました。
1か月先まで予定表が埋まっていないと、落ち着いて過ごすことができませんでした。

そうして忙しく過ごしていると、体に異変が起こり始めました。

始めはそわそわする、落ち着かない、不安など、なんとなく調子は悪いのですが、意識にのぼらない程度のものでした。
しかしその状態を放置していると、気持ち悪くて電車に乗っていられない、PMS(月経前症候群)が悪化し、痛みでベッドから起き上がれない、なにもないのに急に悲しくなり泣き出してしまうなど、日常生活に支障が現れるようになりました。
いろいろな病院にかかったのですが、原因はわかりませんでした。

学校生活や仕事などを精力的に行うことは悪いことではありません。
しかし、それが過剰になりすぎたり、休息をとれていなかったりすると、自律神経のバランスが乱れてしまいます。
活動する交感神経の働きがどんどん強くなり、動悸や息苦しさ、不眠、食欲不振など、様々な症状がでるようになります。
その状態では対となる副交感神経の働きが弱まるため、消耗したエネルギーを回復することができません。
しばらくすると活動するためのエネルギーが枯渇してしまい、気力が湧かない、気分が落ち込む、なにをしても楽しくないなどのうつの症状が現れます。

私の場合、うつ状態になる前に就職活動が始まり、隙間時間を作るようになったことで、少しずつ体調が良くなっていくのでした。

次回は最終回、社会人編です。



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