免疫力と低体温の関係

更新日:2015.07.03

執 筆:整体師 鈴木真由美

低体温の原因は、ストレス社会にあった!?

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皆さんはご自身の平熱をご存知ですか?

現代はストレス社会で低体温の方が増えています。
何故か?
それは「ストレス(外的・内的)にさらされると、体温が下がり冷えを感じるから」です。

私たち人間は恒温動物なので、周囲の温度に対応して体温が一定に保たれるようになっています。そして、この調節を自律神経が行っています。

冷えを感じると、防御反応で体の深部の温度を下げぬように、

  • 血管を収縮させ
  • 毛穴を閉じ
  • 放熱を避ける

ことで深部の体温を維持します。

免疫力と交感神経

同じように、交感神経の緊張でも血管は収縮し、細くなってきます。

強い冷気にさらされ続けたり、強い緊張状態を続けたりすると、ちょっとした寒さ、又は緊張でも自律神経は過敏に反応してしまいます。
すると、血流を途絶えさせて冷えを感じるようになり、低体温の原因にもなります。

低体温や冷えは病気ではありません。しかし、体の深部の冷えは万病の元となりうるのです。
東洋医学ではこれを病気と健康の境目にあるもの、「末病」として注目しています。

冷えを感じると、交感神経が働き、免疫システムで「顆粒球」という免疫細胞が多くなります。
この顆粒球は細菌が侵入してくると炎症を起こし、細菌を退治します。その際、「活性酸素」という組織を酸化させてしまう物質が放出されます。

この顆粒球、細菌だけを退治して酸化させるならいいのですが、過剰なストレスが続くとこの反応が早くなります。
すると、少しの細菌でも顆粒球が多くなって、他の健常な組織をも破壊していってしまうんです。

交感神経優位の方が胃に異常をきたすのは、内臓の粘膜が酸化されて壊れてしまうからなのです。

免疫力と副交感神経

免疫には、もう1つ「リンパ球」という細胞があります。これは、より小さい異物を細菌とみなし、

  • 花粉
  • ダニ
  • ウィルス

などを退治してくれます。
そして面白いことに、リンパ球は顆粒球と反対で副交感神経優位の状態で増加します。

  • アトピー
  • ぜんそく
  • 花粉症

など、アレルギー性疾患の多くは、リンパ球がわずかな刺激に対して過敏に反応し、アレルギーを起こします。

昔に比べ、日本は生活環境がとてもクリーンになりました。これは、現代に生きる私達にとっては非常に感謝すべきありがたいことです。

しかし、現代人の体はあまりにもクリーンすぎて、雑菌は全て殺菌されるので、体内に侵入する抗原が減り、リンパ球は本来なら無害である粉やハウスダストを侵入者として捉えてしまうのです。

体はこれに反応して、かゆみ、くしゃみ、鼻水などのアレルギー症状を起こしてしまいます。

  • 衛生過剰
  • 運動不足
  • 排気ガス

など、都会型の副交感神経優位がアレルギーを助長させているんです。

免疫力の高め方

免疫は自律神経ととても深く関わっていて、交感神経、副交感神経のどちらかが過剰に働きすぎると、免疫のバランスが崩れてしまいます。
体の異常を感じたときに、

  • 解熱剤
  • 痛み止め
  • 消炎鎮痛剤
  • 抗がん剤
  • ステロイド剤

・・・などの各症状に対して、対症療法で薬を多く、又は長く使用してしまうと、交感神経を刺激しすぎ、かえって免疫力を低下させてしまいます。自分自身で体をメンテナンスする能力を発揮することができないのです。

発熱は体温を上げて免疫力を上げて戦おうとしている証です。
膿、にきび、痛みとして現れるものは免疫が戦っている証です。

ご自身の免疫力を信じてあげてください。また、免疫力を上げるために、

  • 体温を上げる(免疫力を上げる)ための入浴
  • 適度な体の活性化のための運動
  • 野菜、海草、きのこ類で栄養を多くとる

などし、交感神経の緊張をほどいてあげてください。
不安から始まる感情に支配されると、交感神経が緊張します。短絡的に物事を見ず、自然の中の一部の命をみてあげていきたいですね。

皆さんの主治医は皆さんご自身です。