予期不安とは?

更新日:2015.02.24

執 筆:整体師 飯島淳

死んでしまうのではないかという強い恐怖感を伴うパニック発作が原因で、「その後また起こるのではないか?」という不安にさらされてしまうことを「予期不安」といいます。

たとえば...

  • また、あの恐ろしい発作が起こるのでは・・・そのうち死んでしまうかもしれない。
  • 外にいる時に、自分で自分をコントロールできなくなったらどうしよう。
  • 気が狂って何か犯罪など起こしはしないだろうか。
  • 発作が起きたときに誰も助けてくれないかもしれない。
  • みんなの前で倒れて恥ずかしい思いをするのではないか。
  • そのままそこから逃げ出せなくなったらどうしよう。

これらの思いが強くなってきます。

一度だけの発作で予期不安になる人もいますし、何度か繰り返してから出てくることもあります。
過去に発作の起こった場所や状況などが引き金になって、また起こるのではと不安が強くなり、頭の中にその不安がこびり付いていると、そのことを考えてしまっただけで予期不安は大きくなってしまいます。

例えば、過去に電車の中で発作が起きたことがあると、「今日これから電車で出掛けよう」と家の中で考えただけで予期不安がどんどんと頭の中に入ってきてしまうのです。
このように、頭の中でその出来事を想像するだけで不安が強くなり、頭を締め付けられるようになってしまうのです。

パニック発作の原因

この発作を起こす元は自律神経の乱れなのですが、この神経は想像と現実の区別がつかないため、想像しただけで心臓がドキドキしたり、苦しくなったりします。

そしてこの自分の体の反応に更に不安になり、症状が強くなっていくという悪循環に陥ります。

元々人間には、想像する能力が備わっています。皆さん多少の予期不安的要素を持っているのです。そこで、「何か起きたらどうしよう?」などと考えたりします。

雪が降った次の日に外を歩くとき、一度雪道で転んだ経験がある人は「あの角で滑って転ぶかもしれない、怪我をしたらどうしよう」と思い、一歩一歩ゆっくり歩こうとします。
このように少し心配性になるものなのです。

これらは他人から見たら心配性ですむので、病気ではありません。
しかし、症状で出る予期不安の場合は、心配性レベルではなく、他人から見ても異常な感じがします。これは脳の中(心)の不具合により起こっているのです。

広場恐怖

広場恐怖もパニック障害の症状の一つです。
ここでいう広場とは、公園などの広い場所という意味ではなく、その場から逃げ出せない所・すぐに助けを求められない所・発作が起きたら人前で恥をかいてしまうような所などのことを言います。

発作というのは、本来突然起こるものですので、その場に居たから起こるというものではありません。
しかし、発作の恐怖が頭に残っているために、発作が起きた場所を覚えていて、その影響だと強く結び付けてしまうようになってしまうのです。

一度その場に行ったことで、予想通りに発作が起きると、その考えは間違いないというようにインプットしてしまいます。
こうなると、その場所をどんどん避けて過ごすようになってしまいます。
これは内因的なものから湧いてくる恐怖なのです。

または、同伴者がいればどうにか行けるといったケースもあります。
初めに一人で居る時に発作が起きてしまった場合は、「一人」ということをインプットしてしまいますので、家の中に一人でいることに恐怖を感じ、誰かが居ないと家の中に居られなくなることもあります。

広場恐怖では、電車・バス・車・図書館・映画館・美容院・歯科医院・人ごみの中・デパートなどがダメなことが多いです。

パニック障害とうつの関係

パニック障害になり発作が多く見られる状態になると、「うつ」を併発するケースも少なくありません。
「予期不安」「広場恐怖」などの不安がいつもあり、物事を楽しめない・いつも神経過敏・悲観的・好きなことにも楽しめなくなる・今まで出来ていたことが出来ないなど、マイナスな精神状態が続き「うつ」へと移行することもあります。

パニック障害と診断されないでいると、治療が遅れ、かなりの確立で「うつ」にかかってしまいます。また、パニック障害が治まるとうつが強くなり、うつが治まるとパニック障害が出てくるというケースもあります。

主な「うつ」の症状は、だるさ・食欲不振・睡眠障害・口の渇き・めまい・不整脈・動悸などがあります。通常、うつ状態は正しい治療をすれば比較的早く改善方向に向かいます。